遺言書の書き方と例文!3つの方式を全てわかりやすく解説します

遺言書なんて作らなくても大丈夫と思ってらっしゃる方も多いのではないでしょうか?

でも、実際に困るのは、配偶者やお子さん達相続人です。
自分にはそんな資産が無いし、子供たちも遺産相続で争うような人達では無いから大丈夫だ、なんて思っていても実際には何があるかわかりません。

仲の良い子供達と思っていても、お金が絡んでくると子供さんの配偶者がチャチャを入れてくる場合もあります。

ですので、遺族が争うことの無いように遺言を残しておきたいものです。

遺言は、亡くなった後に唯一自己の意思を表明する場でもあります。
遺言書が有ることによって、相続人も意思を受け取ることができて亡くなった方の気持ちや考え方も解かるのだと思います。

その意思が解らなければ、相続人も困ってしまいますね!
遺言が有れば受け取る側の相続人も堂々と貰い受けることができます。

最近、私の知り合いの相続で兄弟どうしで揉めて大変だったという話を聞き、遺言書の大切さを思い出しました。行政書士試験合格者でもあるので、勉強したことの復習の意味もこめて遺言書の書き方を記事にしてみようと思いました。

目次

遺言書作成の3つの方式

遺言は、主に自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3つの方式に別れます。
その中で唯一自分一人で作成することができるのが自筆証書遺言です。

相続は遺言書があれば遺言書が優先されます。遺言書がなければ、相続人間で協議をして協議が調えば遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議が調わなければ家庭裁判所で遺産分割調停を行います。

遺産分割調停を行なっても合意が得られない場合は、最終的に裁判を起こして裁判所で分割の判決を出してもらうという流れになります。

但し、遺言があっても遺産分割協議を行なって分割することも可能です。

それでは、まず自筆証書遺言から説明していきます。

自筆証書遺言の書き方

自筆証書遺言について民法第968条で定められていて、遺言する者(遺言者)が、遺言の内容全文を記載して、日付、氏名を自書して印を押印しなければ無効とされます。

又、自筆証書遺言は、家庭裁判所の検印が必要となるので要式に不備があれば無効とされます。ですので、要式に不備の無いように作成する必要があります。

印鑑は認印でも可能ですが、できれば実印で押印して印鑑証明書も同封しておくと家庭裁判所での検認の手続きもスムーズに行われます。

書く用紙は、A4サイズのコピー用紙や便箋などを使いワープロではなく自筆で記入します。
又、記載する日付については平成◯◯年◯◯月◯◯日と正確に記載しましょう。(くれぐれも吉日とはしない)

*2,019年1月13日より自筆証書遺言の財産目録については、ワープロやパソコン等での作成が可能となりました。

民法第968条(自筆証書遺言)

①自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

②自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

自筆証書遺言の文例

自筆証書遺言の一般的な文例をご紹介します。

遺言書

遺言者  木村太郎(仮名)は次の通り遺言する。

1、妻 木村花子(仮名)(昭和◯◯年◯◯月◯◯日生)には以下の不動産を相続させる。

(1)土地
所在   東京都◯◯区◯◯
地番   ◯◯番◯◯
地目   宅地
地積   ◯◯平方メートル

(2)建物
所在   東京都◯◯区◯◯
家屋番号 ◯◯番◯◯
種類   居宅
構造   木造亜鉛メッキ鋼板葺2階建
床面積  1階  ◯◯平方メートル
2階  ◯◯平方メートル
2、長男  木村一郎(昭和◯◯年◯◯月◯◯日生)には以下の預金を相続させる。◯◯銀行◯◯支店の遺言者名義の定期預金
口座番号◯◯◯◯◯◯◯

3、長女  木村和子(昭和◯◯年◯◯月◯◯日生)には以下の預金を相続させる。◯◯銀行◯◯支店の遺言者名義の定期預金
口座番号◯◯◯◯◯◯◯

4、その他遺言者に属する一切の財産は、妻 木村花子に相続させる。

5、遺言執行者として、妻 木村花子を指定する。
遺言執行者は、遺言者名義の預貯金の名義変更、払戻、解約、その他本遺言の執行に必要な一切の行為をする権限を有する。

平成◯◯年◯◯月◯◯日

東京都◯◯区◯◯番地◯◯

遺言者  木村太郎   印

上記のような一般的な自筆証書遺言を記載しましたが、ご自分のお持ちの資産や相続人によって記載内容を変更して下さい。

次は公正証書遺言について説明します。

公正証書遺言の方式

公正証書遺言は民法第969条に定められていて公証人役場において遺言者及び証人2人以上の立会によって行われます。

まず、遺言者が公証人の前で遺言の内容を話して、その内容を公証人が筆記します。その内容を遺言者、証人に確認してもらい問題がなければ署名、捺印をして公正証書遺言が出来上がります。

この公正証書遺言を作成するには、公証人役場を介しますので費用がかかります。相続する財産価格によって変わってきますが約3万円から4万円程度です。

又、証人になってくれる方2名に公証人役場まで出向いてもらわなければならず、謝礼等も必要になってきます。

公正証書遺言は、公証人が作成するので裁判所の検認は不要となります。
ただし、証人立会が必要な為遺言の内容を秘密に出来ないというデメリットがあります。

民法第969条(公正証書遺言)

公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
1、証人2人以上の立会があること。
2、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
3、遺言者が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させる。
4、遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
5、公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。

最後に秘密証書遺言について説明します。

秘密証書遺言の方式

秘密証書遺言は民法第970条に定められていて、自分で遺言書の全文を記載(ワープロ可)してその書面に署名し捺印します。そして、封書を封じ遺言書に捺印した印鑑で封印をします。その遺言書を公証人と証人2人の前に遺言書を提出して、自己の遺言書である旨と住所、氏名を申述します。

公証人が、遺言書(封書)に日付、遺言者の申述を記載し、遺言者及び証人が署名、押印して完成します。

この秘密証書遺言は、遺言内容を秘密することができます。公証人の費用も一律1万1千円と定額になっていて公正証書遺言に比べて費用を抑えることができます。

ただし、公正証書遺言とは違い家庭裁判所の検認が必要となります。

民法第970条(秘密証書遺言)

➀秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
1、遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。
2、遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
3、遺言者が、公証人1人及び証人2人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
4、公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。
➁第968条第2項の規定は、秘密証書による遺言について準用する。(自筆証書遺言の訂正のし方)

遺言の共通事項

  • 自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の共通事項は下記の通りです。遺言はあくまで本人の意思に基づくものでなければならない。
  • 遺言は民法の定める方式に従わなければすることができない。
  • 通常の法律行為は行為能力者(20才以上)でなければならないが、遺言については15才に逹すれば、単独で遺言をすることができる。
  • 遺言者はいつでも遺言を撤回することができる。前の遺言と後の遺言で抵触する部分は前の遺言が撤回されたものとみなされる。
  • 二人以上の者が同一の証書で遺言をすることができない。

遺言の共通事項をまとめると、15才以上の者が、自分の意思に基づいて、民法の定める方式に従って遺言を行うことができます。
又、遺言の内容はいつでも撤回することができて、2人以上の者が共同して遺言を作成することができない。

最後に

一般的な遺言は、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言がありそれぞれにメリット、デメリットがあります。ハードルが低い順に並べると、自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言の順になりますかね!

自筆証書遺言は、費用もかからず自分一人でできますので一番おすすめです。

遺言はご自身が亡くなった後もその意思は生き続け相続人に受け継がれていきます。
遺言を残すことによって遺族が争うリスクを減すことができれば遺族にとっても幸せな事だと思います。

では、遺言書の作成をお考えの方は参考にしてみて下さい。

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