遺言書の3つの種類の特徴とは?メリット・デメリットも含め徹底比較!

遺言書があると相続人間の争いを軽減するメリットがあります。

遺言は、自身が亡くなった後でも自身の意思を表明できる制度です。その意思がわからなければ、相続人も困ってしまいますね!

遺言書があることにより、相続人も堂々と遺産を貰い受けることができます。

私にはそんな財産と言える物はないから不要だって思っている方!

財産の大小ではないのです。

相続人が争わないようにする為、又自身の意思を伝える為にも遺言は必要なのです。

私の知り合いの相続で遺言書が無かった為、兄弟間で揉めてしまい大変だったという話を聞き記事にしようと思いました。

それでは、遺言書の3つの種類の特徴とメリット・デメリットを比較しながら解説していきたいと思います。

目次

遺言書の3つの種類

遺言書の種類は、主に自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言に分けられます。
これらの遺言書は自分一人で作成できる物から公証人役場にて公証人や証人立ち合のもとに作成される物などがあります。

それぞれ特徴があって、取っ付きやすいもの、手続きが少し面倒なものなどあります。
この記事を読んでもらって、自分にあった形態の遺言書を見つけて欲しいと思います。

では次項で3つの種類の遺言書の特徴等を説明していきます。

3つの種類の遺言書の特徴比較

3つの遺言書の特徴を下記の表にまとめてみました。

 自筆証書遺言 公正証書遺言秘密証書遺言
 特徴自分一人で作成する事ができる唯一の方式です。公証人役場において、公証人が作成します遺言の内容を自分だけの秘密にしておくことができる。遺言書は自分で作成し、公証人が遺言書の存在を証明します
 方式 自筆で、本文、日付、氏名を記載して押印して封をします。遺言者が、遺言内容を話して、公証人が筆記します。
その内容を、遺言者、証人に確認してもらい、問題なければ遺言者本人と証人が署名、押印します。又公証人も手続きに従った旨を記載して署名押印して完成です
遺言者が作成した遺言書(ワープロ、代筆可)を持って、証人二人と共に公証人役場へ赴く。 公証人と証人二人の前で、自分の遺言書である旨及び住所、氏名を申述します。公証人は封紙上に遺言者の遺言である旨及び日付を記載します。そして、遺言者と証人が封紙に署名押印して完成です
 保管自分で保管 原本は公証人役場に保管 自分で保管
 家庭裁判所の認証必要 不要必要
 費用基本的には費用は発生しません。 ・公証人手数料は、財産価格1,000万円までは、相続人一人当たり1万7千円、財産価格1億円までは4万3千円の公証人手数料がかかります。相続人数が増えるごとに上記の価格を掛けていきます。

・又司法書士などの専門家に以来すると報酬を別途支払う必要があります。

秘密証書遺言の公証人役場の費用は11,000円の定額になっています。
 その他 印鑑は認印でよいと言われていますが、実印による押印をして印鑑証明書添付することにより家庭裁判所の検認をスムーズに進めることができる。必要書類
遺言者ー実印、印鑑証明、戸籍藤本(遺言者と相続人との続柄をわかるもの)、通帳、登記簿藤本など資産を証明するもの・証人ー住民票、認印

*2019年1月13日より自筆証書遺言に添付する財産目録については、ワープロ、パソコン等での作成が可能となりました。

それでは、自筆証書遺言(民法第968条)、公正証書遺言(民法第969条)、秘密証書遺言(民法第970条)が規定されている民法の条文を掲載します。

民法第968条(自筆証書遺言)

①自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

②自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

民法第969条(公正証書遺言)

公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
1、証人2人以上の立会があること。
2、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
3、遺言者が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させる。
4、遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
5、公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。

民法第970条(秘密証書遺言)

➀秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
1、遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。
2、遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
3、遺言者が、公証人1人及び証人2人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
4、公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。
➁第968条第2項の規定は、秘密証書による遺言について準用する。(自筆証書遺言の訂正のし方)

3種類の遺言書のメリット・デメリット比較

続きましては、3種類の遺言書のメリット・デメリットを比較してみます。

 自筆証書遺言公正証書遺言秘密証書遺言
メリット費用がかりません。
自分一人で簡単に作成することができます。
公証人役場で公証人が作成するので、無効になりません。
・原本は公証人役場で保管するので紛失や偽造、変造の怖れがありません。
家庭裁判所の検認が不要です。
遺言の内容を秘密にすることができます。
・遺言書の偽造・変造はほとんどありません。
デメリット裁判所の検認が必要になる為、不備が有れば無効とされる場合があります。費用と証人をお願いする手間がかかる。
・証人の前で遺言の内容を確認するので、証人に遺言内容を秘密にできない。
家庭裁判所の検認が必要になる為、不備が有れば無効とされる場合があります。
・公証人役場を利用するので、費用と手間がかかります。
・遺言書の滅失、隠匿の心配があります。

3種類の遺言書の共通事項

  • 自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言に共通する事項をお伝えします。遺言はあくまで本人の意思に基づくものでなければならない。
  • 遺言は民法の定める方式に従わなければすることができない。
  • 通常の法律行為は行為能力者(20才以上)でなければならないが、遺言については15才に逹すれば、単独で遺言をすることができる。
  • 遺言者はいつでも遺言を撤回することができる。前の遺言と後の遺言で抵触する部分は前の遺言が撤回されたものとみなされる。
  • 二人以上の者が同一の証書で遺言をすることができない。
  • 被後見人が遺言する場合で、一時的に事理弁識する能力を回復した場合、医師二人の立会のもとに遺言をすることができる。この場合、医師は遺言書作成時に遺言者が事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記しなければならない。*2019年1月13日より自筆証書遺言に添付する財産目録については、ワープロ、パソコン等での作成が可能となりました。

最後に

遺言書の事なんて考えなくてもまだまだ大丈夫だとお考えの方

人間この先何があるかわかりません!

私自身も、明日交通事故に遭ってしまい亡くなってしまうかもしれません。
そんな状況になってしまった場合、困ってしまうのが相続人です。

いくらの財産があって、いくらの負債があるのか?

自分自身で把握できていないのに、相続人がわかる訳がありません。
もし、財産目録みたいな一覧になっているものでも有れば相続人も助かりますよね!

ですので、自身の資産状況の把握の意味も込めて遺言書を作ってみるのもいいのではないかと思います。

自筆証書遺言は費用も特にかかりませんし、一番取り組みやすいものだと思います。

という事で、まずは自身の財産状況の把握から行なってみてはいかがでしょうか?

*自筆証書遺言書の書き方については別記事で書いておりますので、そちらも合わせてご覧いただければうれしいです。↓↓↓
遺言書の書き方と例文!3つの方式を全てわかりやすく解説します

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