遺産分割協議書は自分で作成出来ます!そのポイントを伝授します

先日、妻の父が亡くなりました。

個人で事業を興していた方なので事業用の借り入れもあったりして、先立つものも少ないという事で不動産関係の仕事をしている私が相続登記をすることになりました。

ただ、相続登記をする前にしなければならない事があるんですね・・・・・

それは、遺産分割協議書を作成しなければならないんです。

遺言があれば、遺言が優先しますが、遺言がなければ相続人間で誰に何を相続するか協議をしてその結果を書面にしなければならないのです。その書面のことを遺産分割協議書と言います。

ということで、遺産分割協議書を自分で作成した私が、やるべき事をやるべき順序にしたがってポイントとともに説明して行きたいと思います。

目次

➀戸籍謄本を集める

まず、遺産分割協議書を作成する上で行うことは戸籍謄本を集めることになります。

  • 被相続人(亡くなった方)の出生時から、死亡までの経過の記載がわかる戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)、除籍全部事項証明書(除籍謄本)等を取り寄せます。現在は婚姻によって別戸籍が作られますので、出生地が死亡時の住所地と異なる場合には出生時の管轄の市区町村役場に出向くか郵送によって取り寄せます。
  • 相続人全員の戸籍全部(一部)事項証明書(戸籍謄抄本)も取り寄せます。(被相続人が死亡した日以後の証明日のもの)
  • 亡くなった方が再婚していた場合で再婚前の子供さんが有る場合には再婚前の子供さん相続人となりますので、その子の戸籍全部(一部)事項証明書(戸籍謄抄本)も取り寄せなければなりません。
  • 相続相続人となる方が既に亡くなっている場合には、人の子が代わって相続します(これを代襲相続と言います)のでその方の戸籍全部(一部)事項証明書(戸籍謄抄本)も取り寄せます。例えば、父、母と子供さん2人の4人家族の場合で父が亡くなった場合で、既に子供さんの1人が亡くなっている場合には孫が子に代わって子の相続分を相続します。

誰が相続人となるのか?

  1. 亡くなった方(被相続人)の配偶者はかならず相続人になります。
  2. 亡くなった方(被相続人)の子は第一順位となり、配偶者と共に相続人となります。配偶者がいなければ子のみが相続人となります。
  3. 亡くなった方(被相続人)の親は第二順位となり、子や孫がいない場合には配偶者と亡くなった方の父母、祖父母(直系尊属)が相続人となります。配偶者もいない場合には亡くなった方の父母、祖父母のみが相続人となります。
  4. 亡くなった方(被相続人)の兄弟姉妹は第三順位となり、子や孫、父母や祖父母がいない場合には配偶者と兄弟姉妹が相続人となります。配偶者がいない場合には兄弟姉妹のみが相続人となります。

➁相続関係説明図を作成する。

戸籍謄本と上記の「相続人は誰になるか」を基に相続関係説明図を作成すると、下の例のようになります。

➂不動産の登記情報を取り寄せる。

亡くなった方(被相続人)の所有する不動産が有る場合には、その所有する不動産の登記の記載内容を確認する為に全部事項証明書(以前登記簿謄本と呼ばれていたもの)を管轄の法務局で取り寄せます。

所有している不動産は、市区町村から毎年送られくる固定資産税の納付の書類に所有不動産の明細書が付いてきていると思いますのでそれで確認することができます。

又、市区町村役場で亡くなった方の資産証明書を取り寄せます。資産証明書は不動産の登記をする時に登記料を計算する為に必要になります。

➃預貯金の残高証明書を取り寄せる。

取引口座のある銀行、証券会社で残高証明書を取り寄せます。
相続人であるか本人確認の書類が必要になりますので、運転免許証や被相続人との繋がりがわかる戸籍謄本を持っていきます。

新聞に死亡広告を掲載したり、新聞のおくやみの欄に掲載されますと、以後金融機関は口座を凍結しますので入金や払い戻しが出来なくなってしまいます。この凍結を解除するためにこの遺産分割協議書が必要になります。

➄相続人の印鑑証明書を取り寄せる

相続人全員分の印鑑証明書を準備しますこの印鑑証明書を添付して実印を遺産分割協議書に押印する事で遺産分割の内容を相続人が承諾したことになります。

➅誰に何を相続するか協議をする。

相続する財産が把握できたら、誰に何を相続するのか相続人間で協議をします。

もし、協議が調わない場合は裁判所へ調停を申し立てます。
裁判所の調停でも合意形成が出来ない場合には、裁判をして判決を出してもらうことになります。

私の義理の父の場合には、相続税の課税対象になるような財産はなく相続税の心配はありませんでしたが、相続税の課税対象になる方の場合に相続税も加味して税理士さんと相談しながら相続財産の分配をすることをお薦めします。

➆遺産分割協議書の作成

相続する財産が決まり、相続する人が決まったらその内容を書面にします。
下記は遺産分割協議書の例ですので、必要な項目は追加して使用して下さい。

遺産分割協議書

平成○○年○○月○○日被相続人○○ ○○○の死亡によって開始した相続につき、次の通り遺産分割の協議をした。

下記の相続財産は○○ ○○が取得するものとする。

○○市○○町○○番地○○
1、地目 宅地 ○○.○○㎡

○○市○○町○○番地○○
家屋番号 ○○番○○
1、居宅 木造亜鉛メッキ鋼板葺2階建
1階 ○○.○○㎡  2階 ○○.○○㎡

1、株式会社○○銀行○○支店に預け入れている現金、預金のすべて。

平成○○年○○月○○日

相続人1住所
氏名            ㊞

相続人2住所
氏名            ㊞

相続人3住所
氏名            ㊞

*印鑑証明書1通必要です。印鑑は実印を押印して下さい。

➇書類を綴る

相続関係説明図、資産証明書、遺産分割協議書、相続人の印鑑証明書、戸籍謄本等を綴って1冊にして出来上がりとなります。

最後に

私の義父は、69歳で亡くなりましたが、75歳まで住宅ローンを組んでいました。
住宅ローンは団体信用生命保険に入っていましたので、保険で住宅ローンは返済することが出来ます。ただ、事業用の運転資金として借入した500万円は残ってしまいます。でも、その借金も作業場兼倉庫を売却してなんとか返済することが出来そうです。

ですので、今回の私の家の件は喜んで相続の手続きを進めることができるケースですが、マイナスの財産が多い場合は相続放棄の手続きを考えなければならない場合もあると思います。

ただ、相続放棄をした場合の相続権は後順位者に移ってしまうことを知らず手続きしてしまうと大問題になってしまいます。例えは、父が亡くなり相続人が母と子1の場合、父が大きな借金があることが分かっていて、母と子が相続放棄をしたとします。この場合、相続権は次の順位の祖父、祖母に移り、祖父、祖母が亡くなっている場合には叔父、叔母の方に移ってしまうのです。つまり、借金が残ってしまうという事です。

この場合、祖父、祖母、叔父、叔母などのすべての相続人になる可能性がある方すべてが相続放棄の手続きをすれば大丈夫なんですが、それを知らずに家族の人間だけが放棄をしてしまうと大変な事になるのです。

あと、問題になるのは空き家になった実家や山林、畑などの有効活用できない不動産の相続問題があります。

出来ればそういう利用できない不動産を相続したがらない方も多く、相続しても登記する義務が無いので、所有者がわからない不動産が多数有る事が今大問題になっています。当然登記するにしても登記費用がかかりますので気持ちもわからないではありませんが・・・・・・

そういう問題もありますが、相続手続きはスムーズに行わなくてなりません。
この遺産分割協議書の作成を専門家の方にお願いすると報酬分だけで5万円から10万円程度はかかるようです。ですので、時間に余裕がある方は自分で遺産分割協議書の作成をしてみてはいかがでしょうか?興味のある方は是非参考にしてみて下さい。

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