以前からあるiDeCo(確定拠出年金個人型)と平成30年1月より始まった積立NISA(正式名称:つみたてNISA)という2つの制度があります。
どちらも投資信託へ投資をする事が出来る制度ですが、どんな違いがあるのでしょうか?
積立NISAは、まだ始まったばかりの制度ですので制度の概要なども認知されていないと思います。
ですので、以前からある似かよった制度のiDeCoとの違いを比較することにより、積立NISAの内容を理解していただけたらと思います。
という事で、ファイナンシャルプランナー資格者(AFP)の私が、iDeCoと積立NISAの違いを比較しながら解説したいと思います。
目次
iDeCoと積立NISAの違い
iDeCo(確定拠出年金個人型) | 積立NISA | |
趣旨・目的 | 今後、公的年金の減額も予想される為、公的年金を補完する目的で作られた制度です。 | 政府の政策の一つ「預金」から「投資へ」の流れを作る目的の一貫として出来た政策 |
非課税枠 (年間) |
| 40万円 |
非課税期間 | 20歳;以上60歳未満のiDeCo加入全期間(最大40年) | 最大20年 |
非課税対象 | 三種類の非課税制度が有ります。 (iDeCoと積立NISAのメリット・デメリットの項目で詳しく説明) | 運用時の「運用益が非課税」 |
投資総額枠 | 個人、加入期間によって異なる | 最大800万円 |
投資対象 | 定期預金、投資信託、保険商品 | 一定の要件を満たした投資信託 |
投資可能期間 | 20歳以上60歳未満の期間内であればいつでも加入、脱退可 | 2018年〜2037年 |
解約払戻し | 60歳になるまでは払戻しを受ける事はできない。 | 原則いつでも払戻し可能です。 |
最低積立金額 | 5,000円から | 100円から |
管轄行政期間 | 厚生労働省 | 金融庁 |
対象者 | 日本在住の20歳以上60歳未満の方(ただし、農協者年金の被保険者、国民年金の保険料免除を受けている者、iDeCo加入が認められていない企業型拠出年金加入者は加入出来ません。) | 日本在住の20歳以上の方(口座開設する年の1月1日現在) |
このiDeCoと積立NISAのそれぞれの特徴は、iDeCoは三種類もの税制優遇を受けられる事と、60歳までしか投資が認められておらず、60歳になるまで投資金の払戻しを受ける事が出来ない事です。
積立NISAは、年間最大40万円を最大20年間投資をする事ができて、投資金はいつでも解約する事が出来ます。又、優遇税制は運用時の運用益のみ非課税扱いとなります。
*iDeCoは平成29年1月より公務員や専業主婦などに加入する事が出来るようになって、対象20歳以上60歳未満の全ての方に拡大されました。(一部適用除外の方も有り)
それでは、次にiDeCoと積立NISAのメリット・デメリットについてお伝えします。
iDeCoと積立NISAのメリット
iDeCoのメリット
やはり三種類の税制優遇ですね!
- 積み立てた拠出額が「全額所得控除」の対象となり、所得から控除出来ますので、所得税・住民税が減税されます。
- 運用時の「運用益が非課税」ですので、通常20%徴収される源泉所得税が課税されまれせん。運用も複利で運用されますので長期投資の複利効果が得られます。
- 受取時は、「公的年金等控除」や一時受取の場合「退職所得控除」の対象となりますので、60歳以降に受け取る場合の所得税・住民税が減額されます。
- 自己破産しても没収されない
ですので、所得税や住民税が徴収されていない方や60歳以上の方はメリットを享受する事ができません。
しかし、自営業者が自己破産しても保護されるので満額を掛けてもいいのかもしれません。国民年金だけでは、やはり心細いところもありますので・・・・
積立NISAのメリット
- iDeCoのような三種類の税制優遇措置は無いのですが、iDeCo同様に「運用時の運用益が非課税」となります。
- 積立NISAはiDeCoと異なり、いつでも払戻しを受ける事ができますので、気軽に投資する事が出来ます。
- iDecoのように国民年金基金連合会、国民年金基金連合会、金融機関の事務手数料などの費用が掛からないので運用面では積立NISAの方が有利となります。
iDeCoと積立NISAのデメリット
iDeCoのデメリット
- 運用商品によっては、元本割れとなる場合もあります。これは、運用状況がどうなっているか定期的なチェックをして、思うように運用益が得られ無い場合には、別な商品への変更等をしていけば問題無い部分ではあると思います。
- 60歳になるまでは掛金の払戻しが出来ません。ですので、住宅購入の予定のある方や、お子さんの教育資金が必要になる方は注意が必要です。(その場合は、積立NISAとの併用や積立NISA単独の方がいいかもしれません。)
- 銀行の定期預金に拠出する場合には、信託報酬や手数料で元本割れになるケースがほとんどだと思いますので、投資信託で運用する方がいいでしょう。
- iDecoに加入する際、国民年金基金連合会へ2,777円、金融機関へ0円〜108円の加入手数料を納めなければなりません。又、月額手数料として国民年金基金連合会へ103円、金融機関の事務手数料として64円と運用管理手数料0円〜500円が発生します。
ですので、ノーロード(購入時手数料0円)や口座管理手数料0円の商品や信託報酬も安い商品を選ぶようにしょう。
積立NISAのデメリット
- iDeCo同様に元本割れのリスクがあります。これも、定期的なチェックで解決できると思います。
- 年の途中で投資した商品を売却しても、売却分の非課税枠は復活しないので非課税枠の再利用が出来ません。
- NISAは、通常の証券口座と違い損益通算が出来ません。通常の証券口座では、その年の利益と損失を相殺して節税する事が出来るのですが、積立NISAを含むNISAでは損益通算が出来ないことになっています。
最後に
私自身iDeCoに15ケ月拠出をして運用益が5%から6%位出ています。アベノミクスによる株高の影響も有ると思いますが、今のところ好調に推移してくれています。iDeCoも積立NISAは似かよった商品も多いので同程度以上で運用は可能と思います。
そこで、まとめてみますとiDeCoと積立NISAの大きな違いは、積立NISAはいつでも解約出来るが、iDeCoは60歳まで払戻しを受けられないこと。
iDeCoは、三種類もの税制優遇を受けられるが、積立NISAは運用益非課税のみしか税制優遇を受けられないこと。
運用面では、積立NISAの方が余計の費用が無いので運用面では有利で有るということ。
又iDeCoと積立NISAを上手に併用する事により、それぞれのメリットを引き出し、デメリットを打ち消すことも出来ます。
iDeCoと積立NISAを併用する場合のメリット・デメリットについては、別記事で書いていますのでそちらも見てみて下さい。